キャトーズ・ジュイエの想い

En route a paris.

– パリへの道 –

キャトーズ・ジュイエとは、フランス語で7月14日、つまり「フランス革命記念日」(パリ祭)のことを指します。
1789年7月14日から始まったフランス革命により、王室に仕えていた料理人や菓子職人たちが町に出ることになり、それまで王室の中だけで楽しまれていた贅沢な美食の技術が世の中に広まっていったそうです。

そのキャトーズ・ジュイエは、毎日いろいろなギャップや驚きのあった私のフランスでの修行時代、特に非常に記憶に残っている日でもあります。

私がフランスの地に初めて訪れ本場のお菓子に魅了されていたのが、フランス革命のちょうど200年後の1989年の秋でした。
出発前の日本のニュースでフランスの7月14日の200年祭の様子が報じられているのを見て、早く出発したい!と はやる気持ちで興奮していたことを思い出します。

翌年、フランスでの生活にもやっと慣れ夏休みも近い7月14日、徴兵に出ていた職場のアポランティー(見習い)仲間が3人、シャンゼリゼ大通りで行なわれる大規模な軍事パレードに参加していました。同じ職場の仲間が陸軍や海軍の軍服を着ていることなんて日本ではとても考えられませんね。
とにかくすごいパレードで、革命時代から順にだんだん現代の軍隊に近づいていき、そして最後にはミサイルをのせたトラック、戦闘機が数機新凱旋門のほうからトリコロールの3色の煙を出しながら反対側の空へと消えていきました。ブラボーと子供たちも大喜び、これでいいのかなという思いを抱いたことが記憶に残っています。

そうして洋菓子の技術だけではなく様々な刺激を受けて帰国し、自分のお店を出す決心をしたとき、妻に言いました。もしすぐにお菓子が売れなくてお店がうまくいかなくても、引き売りから始めてでも必ずまたお店を出そう、何度失敗してもきっと…と。
始めは不安な気持ちもいっぱいでしたが、フランスで生活していたあの頃をずっと忘れないで夢を持ち続けたい、この店で夢を実現していきたい。そんな想いを込めた『キャトーズ・ジュイエ』です。

素材へのこだわり

最良の材料で、ベストなお菓子を。
そのために当店では特に「副材料」に着目しています。

たとえば、ケーキの上に飾るお人形などに使われるマジパン。
マジパンは人形などの細工に使うイメージがあるかもしれませんが、生地に直接入れたり、焼菓子のベースに使ったり、マジパン単体で作るお菓子もあります。

さらにそのマジパンの材料はアーモンドと砂糖なのですが、アーモンドは日本の和菓子で言う小豆のようなもので、フランス菓子にはもっとも重要な素材の一つです。

当店では、アーモンドはアメリカ産、イタリアのシシリー産、スペインやアメリカのマルコナ種などを用途により単体またはブレンドして使用しています。

アーモンドの用途は実に多様です。粉末状にしてアーモンドプードル、粉糖と混ぜて挽いたタンプールタン、砂糖を焦がして作ったキャラメルにアーモンドを加え、冷やしてからペースト状に挽くプラリネアマンド。そして砂糖を加熱してシロップ状にし、アーモンドとからめて挽いたものがマジパンになります。

それぞれのお菓子にあった副材料を作るために挽き方やローストにこだわり、そして出来立てをすぐにお菓子にすることを大切にしています。やはり食べ物は良質の素材と、鮮度、作り手の愛情が味を左右するのです。

アーモンド同様、フルーツのジャムやソース、フルーツの皮で作るピールなどを作る過程も、個性的でおいしいお菓子を作るために大切なひと手間です。
決して大量生産はできませんが、こうした基本的なことを一つ一つ積み重ねたお菓子作りを、キャトーズ・ジュイエはこれからも続けて参ります。

オーナーシェフ 白鳥 裕一

昭和40年9月29日生まれ

神奈川県横浜市生まれ 埼玉県浦和市育ち

フランス菓子の素晴らしさ、楽しさを、皆さんに知っていただきたい想いで店をオープンして28年が過ぎました。

これからも最新のフランス菓子を私なりの表現を加え、発信し続けたいと思っております。

キャトーズ・ジュイエの歩み

沿革